ヴィジリアとナターレ |
日本のお正月はいいですね。ふぐやらお刺身やら焼肉やらを堪能し、すっかり満足で先日ミラノに帰ってきました。
もう手遅れ?という感じですが、イタリアでのナターレの様子をお伝えします。
カトリック大国イタリアでは、ナターレはとても大切な宗教的イベント。
家族・一族が一同に集まる機会でもあり、食卓を囲んでゆっくり過ごすのが普通です。
日本のお正月のような感覚のようです。
毎年私たちは旦那様の実家ピアチェンツァでナターレを過ごします。
食事としてはヴィジリア(24日イヴの夜)とナターレ(25日)の昼食がもっとも大事なイベントです。
ヴィジリアは肉は御法度、魚中心の料理をいただき、ナターレは肉料理メインのかなりしっかりした食事というのが正統です。
今年はヴィジリアに義父母の友人たちを招いたので、25のナターレ本番よりも盛大な印象がありましたね。
赤いテーブルクロスに、義母のマンマ(うちの旦那様のおばあちゃま)が嫁入り道具としてもってきたとい金の縁取りのあるお皿やクリスタルのグラスなどを並べて、気分はいやおうにも盛り上がります!
友人ファミリーと我が家と、総勢10名でのお食事です。

まずはプロセッコで乾杯!
メニューはというと、まずシュリンプ・カクテルやサーモン、カジキマグロのカルパッチョといった冷たい前菜にはじまり、次に帆立貝のパン粉焼き、シーフードの串焼き、ムール貝のワイン蒸しなどの温かい前菜が続きます。
残念ながら子供の面倒をみたりお客様に挨拶をしたりと忙しくて、すっかり写真を撮り忘れました!
もう、プリモを前に、このあたりでお腹がいっぱいです。
それから魚介のパスタのカルトッチョ(紙包み焼き)、メインの魚介のフリットと続きましたが、もう無理です。
私は全種類一口ずつ頂きましたが、前菜あたりでペースを飛ばしていた男性陣はほとんどギブアップ。
古典的なおもてなし好きなマンマ・ルチアは”適量”をはるかに超える料理を朝の6時からつくっていたそうで、皆覚悟はしていましたが、今日もやはりすごい量を用意したようですね〜。圧巻でした。
その後サンタクロースに扮した友人ファミリーのパパが子供達にプレゼントを配り、それから大人達はパネットーネとスプマンテをいただきながら深夜2時までおしゃべりが続きましたよ♪
そんな夜はもう片付けをする余力は誰にも残っていません(笑)。
そのままベッドに行き、翌日の朝いつも片付け担当の義父ロベルトが片付けをしてくれたそうです。(私は気づきもしませんでした!ひどい嫁ですね。。)
ちなみに、イタリアでは片付けは男性が担当することが多いです。女性には本当に助かる慣習ですよ。
そして本番のナターレ。
食事はディナーではなくランチというのがイタリアです。
前日の宴がボリューミーで長かったこともあり、今年のナターレのランチはシンプルでしたよ。
まずはピアチェンツァの名物サルーミの盛り合わせ。
さすが名産地だけあり、スライスものではなく固まりのハムやサラミを家でちゃんとスライスして盛り合わせるのがこだわりです。


手前から時計回りに、
パンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)、コッパ(豚肩肉の生ハム)、プロシュット・クルード、サラーメ・ディ・ピアチェンツァ(ピアチェンツァ産のサラミ)。

サラミは手切り、薄切りが美味しい他のハム類は4年前のナターレに私たち夫婦がパパとマンマにプレゼントしたスライサーでロベルトがスライスしました。
こういうのも男の仕事ですね。
これにオリーヴや野菜の酢漬け、グリル野菜のオイル付けなど、夏の間にマンマが仕込んでおいた冬らしい野菜料理を付け合わせとしていただきます。
プリモはマンマお得意のラザーニャ。

内陸で寒さの厳しいピアチェンツァの冬の料理は、バターや肉を使った重いレシピが多いように思います。

ラザーニャに入れるラグー(ミートソース)も、ほんの少ししか野菜が入りません。それとグラナ・パダーノやパルミジャーノ・レッジャーノといったチーズをたっぷり重ねた、しっかり濃厚な味わいです。
セコンドは鶏のポッラストラ(pollastra=若い雌鳥)です!

イタリア語で鶏はポッロ(pollo)が総称で、その中にカッポーネ(cappone=去勢した雄鶏)やガッリーナ(gallina=雄鶏)、今回のポッラストラなど種類によって名が変わります。
さすが肉食の国ですね、日本では魚の名が成長度によって変わるようなことなのかなと感じました。
・・・ちなみに自称・食材オタクの私もポッラストラは聞いたこともなく、今回興味津々でいただきました。
味は濃厚、若いということでさっぱりしているのかと想像したのですが、見ての通り皮も黄色く、カッポーネによく似ている味でした。
マンマは鶏料理が得意で、庭でとれるセロリなどの香味野菜とこれまた庭で育てている(自生?)ローズマリーやセージなどの香草と一緒に鍋で蒸し焼きにしたのだそうです。
いつも料理を見たいと思うのですが、早起きのマンマはいつも早朝に料理を済ませてしまうので、(イタリアでは、料理は早めに済ませて食事の前にキッチンを掃除してしまうという女性は多く見かけます)今回も見るチャンスがありませんでした・・・。
今年もよく食べてよくおしゃべりをしたナターレでした。
本当にマンマとパパ、お疲れさまでした。
あまりにも盛大なので、年越しとお正月は二の次、という気持ちになるのが毎年この時期なのですが、今年は日本でお正月だったので何だかご馳走続きな年末年始でしたよ。
ちなみに・・・この後マンマは風邪を引き大変なことに。日本で寝正月という人が多いのと同じなのでしょうか?
お大事に!